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リレー小説参加!

ライトノベル作家あわむら赤光が書き綴る、閃光のように消えゆく可能性大のお気楽ブログです。
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2011/12/08(木)
 ふゆきんこと冬木冬樹さん(ブログこちら)が最近音頭をとって、作家仲間を集めてリレー小説をやってるんですよ。

 鳥羽さん、むらさきさん、某S先生が参加した楽園の話とか、明月さん、むらさきさん、某S先生が参加した魔女の宅配便(11年12月5日の記事)とか、楽しく拝読させてもらってたんですが、このたび僕も誘われました。

 仕事の合間の気分転換にどうよ、遊びだから深く考えずに気楽に、一狩り行こうぜ! みたいなノリだったんで僕も「まぜてまぜて」と小学生男子のように無邪気を装って参加したんですね?

 その実、
 どんな無茶なお話にしてやろうか。
 自分で畳まずに済む風呂敷を広げるのはなんと楽しいことよ。
 ヒッヒッヒィ。


 とか言いながらトップを切って書いたのが以下のようなものです。
 是非、ご笑読くださいませ!


大テーマ:ボーイミーツガール
『むらささきゆきや』さんから『あわむら赤光』へのテーマ:相合傘



 皇歴三〇八年のことである。弱冠十六歳で青蓮王の号と封土を嗣いだ蒼達(そうたつ)は、半年と経たず城を追われていた。
 追撃の手は熾烈を極め、供と脱出した腹心たちは一夜にして皆逝った。ついぞ昨日までは絹をまとい、冠を戴いて玉座から全てを見下ろした蒼達は、泥にまみれて山中を彷徨い歩いた。
 折り悪く、雨である。
 無限に降り注ぐ水滴は蒼達の体温を奪い、代わりにずっしりと重い疲労を肩に載せる。
 とうとう、蒼達は前のめりに倒れた。もう一歩も動けない。全身が言うことを聞かない。そのくせ腹は痛いほど空腹を訴えてくる。どうせ自分はここで野たれ死ぬしかないのに、体はまだなお生き延びようと足掻くのか。浅ましいことだ。涙が出るほど笑えた。
「百年ぶりに人を見たかと思えば、亡者か王者か。はたまた人の皮を被った大蛇の類か」
 ふとかかる、揶揄の声。朦朧としかけた意識が頭の中で再び線を結ぶ。気づく。あれほど自分を苛んだ雨がやんでいる。否、雨音はまだしていた。蒼達は目の動きだけで見上げる。
 真っ赤――色鮮やかに視界に飛び込んできたのは、朱染めの色紙で作った傘であった。
 そして、地に差し立てた傘の下には、岩にもたれかかった少女がいた。
 蒼達よりも年下に見える。そのくせ娼婦のように着崩し、薄い胸元を露わにしている。煙管をくゆらせながら、道端を転がる石ころでも見るような目で、こちらを見下ろしていた。
 そのちぐはぐさが何とも妖艶で、美しい。忽然と現れた怪異を疑問にも思わず見惚れる。


『あわむら赤光』から『冬木冬樹』さんへのテーマ:バカップル


 過ぎる記憶は栄華の時代。見惚れる理由は過去の従花。
 蒼達は、未だ皇族であったころに出逢った一人の少女を想起する。
 蒼達は、父王の下知で王都の裏通りの視察に来ていた。
 しかし視察の必要性など感じない。父王の治世は盤石。憲兵が隅々まで見張り、怪しい者は王都に入れず、鼻つまみ者はすべて薄汚い裏通りに叩き込んでいた。
 決壊しない堤の裏、びっしりとたかる虫を目に焼き付けよ――そう言われているも同じ下知に蒼達は不快感をあらわにしたが、王の下知は神からの託宣である。いかにその神の座へ昇ることが約束されている身でも、逆らえるはずもない。
 渋々訪れた裏通りに、けれど、従花は咲いていた。
 追剥と思しき鼻つまみ者どもに囲まれ、けれど剣を血で汚すのをためらっていた時だ。
「ああもう、無防備で見てられない。ちょっと来なさい。お姉さんが守ってあげるから」
 そんなことを言いながら蒼達をさらって逃げた、少し年下の少女。
 身なりは汚いが顔立ちはどこぞの貴族のご令嬢と言われても信じてしまえるほどに整っていて、「王の妃でも不思議はない」と冗談めかして称えれば、「冗談! 玉座の横よりあんたの横がいいわ」と笑って答えた、一人の女性。
 なぜ、心を通わせてしまったのだろうか。
 ――彼女は、実を結ぶことなく散る従花だったというのに。


『冬木冬樹』さんから『某S』先生へのテーマ:魔法少女


 彼女はとうの昔に死んだ。
 饐えた臭気をまとう春雨の夜、逢引の約束を交わした路地裏で殺された。蒼達が見つけたときには、薄汚い虫連中に黒髪から爪先まで穢され、野良犬のように首を掻き切られていた。
 泥まみれの彼女の頬を、二度と流れぬ涙の跡を、冷たい雨に打たれながら幾度も幾度も撫でやった蒼達は、からん、という乾いた音を聴いた。それが己の心の壊れる音だったのだと気づいたのは、稀代の暗愚王として、民と軍に謀反を起こされてからのことである。

「おまえが何故、生きて――」
「貴様が常世の誰ぞと見紛えておるのか知らぬが」
 蒼達の震える声を遮って、煙管の少女はつまらなそうに首を振った。けれど石と人とを同列に並べる眼つきや態度とは裏腹、その声質すらも徒花の彼女と一致していた。
「妾は三千世界の魔を侍る者、たかが境界線を踏み越えし王に興味はなし。現世への還り道を教えるがゆえ、その身に定められし退屈な生を全うするがよし」
「……帰るべき道など、すでにない」
「凡庸なる王が面妖なことを言う――ほう? 貴様、随分と愉快な生き方をしたな」
 少女は初めて蒼達と眼を合わせると、口角を持ち上げるようにして笑った。
「千年ぶりに腹が空いた。妾にその魂を捧げよ。さすれば貴様の望みをひとつ叶えてやろう」


『某S』先生から『むらさきゆきや』さんへのテーマ:みんな幸せ


 蒼達は約束の一刻前に、路地裏へとやってきた。
 愛する徒花を失った忌まわしい場所へ。
 そこには野盗とおぼしき男たちが屯していた。そして、今、まさに少女へと手を伸ばそうしている。
 恐怖におののいていた彼女が気付き、名を呼んだ。
「蒼達!」
「すまない……待たせた。とても長く……」
 欲望を滾らせていた下衆共が、汚い怒声をあげた。なまくら刀を振り上げる。
 あの日、彼女の首を掻き切ったのは、この刀か。蒼達の絶望だった感情は怒りへと変わり、殺意という形になった。
 野盗たちを斬り伏せたあと、蒼達は愛する女性を抱き寄せ、濃密に口付けし、そして告げる。
「君に隠していたことがある……俺は、この国の王になる者だ」
「あんたが……王様!?」
「俺は重すぎる宿命から逃げていた。そして、ここで報いを受けた……お前を失ったのだ。俺は、やり直すぞ。民を苦しめる失意の王にはならない。お前も民もみんなを幸せにする」
 蒼達は魔の女に願ったのだ――
「俺の魂などくれてやる。望みを叶えると言うなら、引き替えに……夢を見させてくれ……」


 ―完―


 あるぇ見事に畳まれてる!?
 おっかしーなー、もっと「四人で投げっ放しジャーマン」みたいな見るに堪えない合体技になると思ってたのになー、グダグダになるとワクワクしながら待ってたのになー。
 うまく〆たむらさきさんはじめ皆さん、さすがすぎる。

 てかね。
 ふゆきんの出したお題には憎悪が感じられますね!
 そして某S先生のお題には愛が満ちていること;;

 というわけで、楽しんでいただけたなら幸いですが、いかがだったでしょうか~?
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